こんにちは。現役京大生の受験バイブル、運営者のパンダです。
化学を勉強していると、「オストワルト法って3つも反応式があって覚えられない」「計算問題になると急に解けなくなる」と困っていませんか。あなたも、そもそも何をしている反応なのか、式をどう覚えればいいのか、計算はどう解けばいいのか、そのあたりでつまずいているんじゃないかなと思います。大丈夫ですよ。この記事を読めば、オストワルト法のしくみと、反応式・計算問題の解き方がすっきり分かります。
私自身、勉強を始めたての頃は偏差値30台で、独学(宅浪)で京大を目指した人間です。化学でつまずく人の多くに共通するのが、反応式を「意味も分からず丸暗記」しようとしていること。化学は本来、何が起きているのかを理解したうえで覚える科目です。この記事では、オストワルト法のしくみと3つの反応式、全体式、そして計算問題の解き方から暗記のコツまで整理します。一緒に見ていきましょう。
- オストワルト法が何をしている反応か
- 3つの反応式と全体式のつながり
- 計算問題を物質量でたどる考え方
- 丸暗記せず理解で覚えるコツ
※オストワルト法のような理論・無機化学を理解で乗り越える先、化学や全科目を独学でどう伸ばすか——偏差値30台から宅浪で京大に合格した私の勉強の「回し方」は 「パンダ式勉強法」完全版(note) にまとめています。
オストワルト法の基礎としくみ
まずはオストワルト法が何をしている反応なのか、その基礎としくみから押さえていきましょう。反応式を丸暗記する前に、全体の流れをイメージでつかんでおくと、式も計算もぐっとラクになります。順番に見ていきますね。
オストワルト法とは何か

オストワルト法とは、アンモニア(NH₃)を原料に、硝酸(HNO₃)を工業的に作る方法です。ドイツの化学者オストワルトが確立した製法で、現在も硝酸の主要な製造法として使われています。硝酸は肥料や火薬などの原料になる、とても重要な物質です。
大まかな流れは、アンモニア → 一酸化窒素(NO)→ 二酸化窒素(NO₂)→ 硝酸という一本道です。窒素を含む物質が、酸素とどんどん結びつきながら(酸化されながら)、最終的に硝酸になっていく——この大きな流れを、まず頭に入れてください。
ここが最初のポイントです。多くの人は、いきなり3つの反応式を覚えようとして混乱します。でも、「アンモニアを段階的に酸化して硝酸にする」という全体像を先につかめば、あとの反応式は「その流れを式にしただけ」だと分かります。細かい式より、まず物語の筋を押さえるのが理解への近道ですよ。
もう一つ、名前の由来も知っておくと記憶に残りやすいです。オストワルト法は、この製法を工業化したドイツの化学者ヴィルヘルム・オストワルトにちなんだ名前です。人名がついた製法は、無機化学にいくつも登場します(ハーバー・ボッシュ法など)。名前だけを丸暗記すると混乱のもとですが、「誰が・何を作る製法か」をセットで覚えると、頭の中で整理しやすくなりますよ。
3つの反応式とその流れ

オストワルト法は、次の3つの反応式で表されます。一つずつ、何をしているかを見ていきましょう。
① 4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O(白金Ptを触媒に、約800℃)
② 2NO + O₂ → 2NO₂
③ 3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO
①は、アンモニアを白金触媒で酸化して、一酸化窒素(NO)にする反応です。ここで白金(Pt)を触媒として使い、高温で反応させるのがポイント。アンモニアが酸素と結びついて、NOと水に変わります。
②は、できた一酸化窒素を、さらに酸素で酸化して二酸化窒素(NO₂)にする反応です。NOがもう一段階酸化されて、赤褐色のNO₂になります。③は、その二酸化窒素を水に溶かして硝酸(HNO₃)にする反応です。ここで注目してほしいのが、③で一酸化窒素(NO)が再び発生していること。この戻ってきたNOは、②に送り返して再利用されます。捨てずに回すのが、この製法の効率的なところなんですね。
①の反応で、白金を「触媒」として使う点も試験でよく問われます。触媒は反応の途中では反応に関わりますが、全体として再生され、反応を速くします。そのため、通常は反応式の矢印付近に条件として記し、反応物のように消費される量には数えません。また①が高温(約800℃)で進むことも合わせて押さえておきましょう。「白金触媒・高温」はオストワルト法①のキーワードとして、セットで覚えておくと安心です。
全体をまとめた反応式

計算では、NOを再利用して原料の窒素が最終的にすべて硝酸になる理想的な場合に、次の全体式を使えます。上の①を1倍、②を3倍、③を2倍して加えるとNOとNO2が消え、全体を4で割ると得られます。
NH₃ + 2O₂ → HNO₃ + H₂O
この全体式が示している、いちばん大事なことは何でしょうか。それは、アンモニア(NH₃)1 mol から、硝酸(HNO₃)が 1 mol できるという関係です。原子の数を数えてみると、窒素は左右とも1個、水素は左が3個・右も1+2で3個、酸素は左が4個・右も3+1で4個と、きちんと釣り合っています。
計算問題では、この「NH₃ 1 mol → HNO₃ 1 mol」という1対1の関係さえつかめば、途中の3段階を一つずつ追わなくても答えが出せます。だから、3つの式は「流れの理解」のために、全体式は「計算のために」と、役割を分けて覚えるのがおすすめですよ。
全体式の作り方も、余裕があれば理解しておくと強いです。やり方は、3つの式を足したときに、途中で出てくるNOとNO₂が消えるように係数をそろえるだけ。丸暗記で全体式を覚えてもいいですが、「なぜこの式になるのか」を一度自分で組み立ててみると、記憶がぐっと定着します。試験本番で全体式を忘れても、流れさえ分かっていれば自力で作り直せる——これが理解して覚える強みですよ。
なぜアンモニアから硝酸を作るのか
そもそも、なぜわざわざアンモニアから硝酸を作るのか、疑問に思いませんか。ここを理解しておくと、流れが記憶に定着しやすくなります。ポイントは、原料のアンモニア自体が、別の方法(ハーバー・ボッシュ法)で空気中の窒素から作られていることです。
つまり、大きく見ると「空気中の窒素 → アンモニア → 硝酸」という、窒素をどんどん役立つ形に変えていく流れの、後半部分がオストワルト法なんですね。窒素という共通の主役が、姿を変えながらつながっていると捉えると、無機化学の工業的製法が一つの物語として見えてきます。
私は化学を、こうやって「なぜその反応をするのか」「何とつながっているのか」という因果の流れで捉えるようにしていました。バラバラの式を点で覚えると、すぐ忘れます。でも、流れ(ストーリー)に乗せて理解すると、忘れにくく、少し問われ方を変えられても対応できます。これは化学に限らず、暗記が必要な科目すべてに通じる考え方ですよ。
接触法・ハーバー法との違い
オストワルト法とよく混同されるのが、接触法とハーバー・ボッシュ法です。テストでも引っかけとして出るので、違いを整理しておきましょう。それぞれ「何から何を作る製法か」で区別するのがコツです。
ハーバー・ボッシュ法は、窒素と水素からアンモニア(NH₃)を作る製法。接触法は、硫黄などから硫酸(H₂SO₄)を作る製法で、酸化バナジウム(V₂O₅)を触媒に使います。そしてオストワルト法は、アンモニアから硝酸(HNO₃)を作る製法で、白金(Pt)が触媒です。
混乱を防ぐコツは、「作る物質」と「触媒」をセットで覚えることです。オストワルト法=硝酸=白金触媒、接触法=硫酸=酸化バナジウム触媒、ハーバー法=アンモニア=鉄触媒。この3点セットで整理すると、引っかけ問題にも迷わなくなりますよ。
これらの製法は、バラバラに覚えるより「窒素の化学」「硫黄の化学」という大きなつながりの中で捉えると忘れにくくなります。ハーバー法とオストワルト法は、どちらも窒素をたどる物語(窒素→アンモニア→硝酸)の一部。接触法は硫黄の物語(硫黄→二酸化硫黄→硫酸)の一部です。元素ごとの流れに沿って製法を並べると、無機化学全体がすっきり整理できますよ。
オストワルト法の計算問題の解き方
ここからは実践編、計算問題の解き方です。オストワルト法の計算は、コツをつかめば決して難しくありません。基本パターンから、物質量のたどり方、収率がからむ問題、つまずきやすいポイントまで、順番に解説していきますね。
計算問題の基本パターン
オストワルト法の計算問題は、ほとんどが「アンモニア〇〇から硝酸が何グラム(何mol)できるか」という形です。原料のアンモニアの量が与えられて、最終的にできる硝酸の量を求める。これが基本の型です。
ここで思い出してほしいのが、さっきの全体式です。NH₃ 1 mol から HNO₃ 1 mol ができる——この1対1の関係が、計算の心臓部になります。つまり、アンモニアが何mol あるかを求めれば、できる硝酸もそのまま同じmol数だと分かるわけです。
だから解く手順は、①与えられたアンモニアの量を mol に直す、②1対1の関係から硝酸の mol を出す、③問われている単位(グラムなど)に直す、というシンプルな3ステップになります。NOを完全に再利用し、損失がない条件なら、3つの反応式を個別に追わずに計算できます。全体式の1対1さえ押さえれば、迷わず解けますよ。
なぜ3つの式を追わなくていいのか、念のため補足しておきますね。理由は、全体式が「入り口(NH₃)と出口(HNO₃)の関係」をすでにまとめてくれているからです。途中でNOやNO₂を経由しても、最終的にアンモニア1個から硝酸1個ができる、という収支は変わりません。だから、途中経過を一つずつ計算する必要がないんです。全体式は、いわば計算のショートカット。これを使わない手はありませんよ。
物質量をたどる考え方

具体的に考えてみましょう。たとえば、アンモニアが 17 g あったとします。アンモニアのモル質量は 17 g/mol なので、これは 1 mol です。NH₃ 1 mol → HNO₃ 1 mol の関係から、できる硝酸も 1 mol。硝酸のモル質量は 63 g/mol なので、答えは 63 g となります。
このように、計算の軸になるのは「物質量(mol)でたどる」という考え方です。質量や気体の体積が与えられても、いったん mol に直してから、1対1の関係でつなぐ。最後にまた必要な単位に戻す。この「mol を経由する」流れは、オストワルト法だけでなく、化学計算全体の基本です。
気体の体積が出てくる問題では、0℃・1.013×10⁵ Paの標準状態で、理想気体1 molが約22.4 L を占めることを使います。与えられた量を mol に直す→1対1でつなぐ→求める単位に直す、という骨格は変わりません。数字が変わっても、やることは同じだと分かると、計算問題が怖くなくなりますよ。
ここで一つ、計算をラクにする見方を紹介します。アンモニアも硝酸も、分子の中に窒素原子を1個ずつ持っています。だから、「窒素原子の数は反応の前後で変わらない」と考えると、NH₃ 1 mol → HNO₃ 1 mol の関係が当たり前に見えてきます。着目する原子(ここでは窒素)を1つ決めて、その数を追いかける——これは化学計算全般で使える強力な考え方なので、ぜひ身につけてくださいね。
収率がからむ問題の解き方

少し難しくなると、「収率」がからむ問題が出てきます。収率とは、理論上できるはずの量に対して、実際にどれだけできたかの割合のこと。現実の反応は100%完璧には進まないので、この収率を考える問題が入試ではよく出ます。
解き方は、基本パターンにひと手間加えるだけです。まず収率を考えずに「理論上できる量」を計算し、そこに収率(割合)を掛ける。たとえば理論上 63 g できるはずで、収率が 80% なら、63 × 0.8 = 50.4 g が実際にできる量、という具合です。
各段階の収率を掛け合わせられるのは、直列に反応が進み、途中の回収・再利用を別に数える必要がない設定です。NOの再循環、未反応物の回収率などが指定されている場合は、単純な掛け算で済ませず、問題文に従って各段階の物質収支を立ててください。
収率の計算で覚えておくと便利なのが、「割合は掛け算でつなぐ」という原則です。収率80%なら0.8を掛ける、というのはもちろん、逆に「実際にできた量から、必要な原料の量を逆算する」問題もあります。その場合は掛けるのではなく割る(0.8で割る)ことになります。掛けるのか割るのか迷ったら、「理論値のほうが実際の量より多いはず」という関係を思い出せば、方向を間違えずに済みますよ。
つまずきやすいポイントと対策

つまずきやすいのは、条件を見ずに全体式の1対1を使ってしまうことです。NOを完全に循環させる理想条件なら全体式が便利ですが、③を1回だけ行い、発生したNOを回収しない場合は1対1になりません。反応式と問題文を対応させてから計算しましょう。
二つ目が、③でNOが再生することの扱いです。理屈のうえでは、発生したNOは②に戻して再利用されます。この「循環」を計算にどう反映するかは問題によりますが、多くの入試問題は全体式で1対1として扱えば解けます。まずは全体式で解けるようにして、循環を細かく問う問題は、その問題文の指示に従いましょう。
ちなみに、③の反応でNOが再生することには、化学的な意味もあります。出てきたNOを捨てずに②へ戻すことで、原料のアンモニアを無駄なく硝酸に変えられる——これが工業的に効率がよい理由です。試験でこの「なぜ循環させるのか」を問われることもあるので、単に式を覚えるだけでなく、「効率よく硝酸を作るための工夫」として理解しておくと、記述問題にも対応できますよ。
三つ目が、単位の取り違えです。質量(g)と物質量(mol)と気体の体積(L)が混ざると、途中で単位を見失いがちです。対策は、常に「今この数字は何の単位か」を書きながら進めること。mol を経由するという軸を崩さなければ、単位のミスはぐっと減りますよ。
四つ目に、意外と多いのがモル質量の値の取り違えです。アンモニア(NH₃)は17、硝酸(HNO₃)は63。この2つは、オストワルト法の計算で必ず使うので、原子量(H=1、N=14、O=16)から自分でさっと計算できるようにしておきましょう。丸暗記に頼らず、原子量から組み立てられるようにしておけば、値をド忘れしても本番で困りません。計算問題は、こうした細かい足元を固めておくことが、確実な得点につながりますよ。
暗記でなく理解で覚えるコツ
最後に、オストワルト法を忘れずに覚えておくコツをお伝えします。結論から言うと、3つの式を丸暗記しようとしないことです。バラバラに覚えると、すぐ抜けますし、少し問われ方を変えられると対応できません。
おすすめは、「アンモニアが段階的に酸化されて硝酸になる」という流れを、絵や物語でイメージしてから式を確認するやり方です。窒素を含む物質が、NH₃ → NO → NO₂ → HNO₃ と姿を変えていく。この流れさえ頭にあれば、各反応式は「その一場面を書いただけ」だと分かり、思い出しやすくなります。
これは私が化学全体で大事にしていた考え方です。公式や反応式を覚える前に、「何が起きているのか」を理解する。理解が土台にあれば、暗記の負担は一気に減りますし、初見の問題にも応用が利きます。オストワルト法は、その「理解して覚える」練習にちょうどいいテーマ。反応式の暗記に苦しんでいる人ほど、まず流れの理解から入ってみてくださいね。
覚えたあとは、必ず自分の手で反応式を書いて、計算問題を解いてみることをおすすめします。理解したつもりでも、いざ書こうとすると係数が出てこない、ということはよくあります。「読んで分かる」と「自分で書ける・解ける」の間には大きな差がある——これはどの科目でも同じです。一度理解した流れを、問題演習で「使える知識」に変えていってください。解けなかった問題だけを繰り返し復習すれば、効率よく穴を埋められますよ。
オストワルト法は、無機化学の工業的製法の中でも出題頻度が高いテーマです。一度しっかり理解しておけば、共通テストでも二次試験でも安定して得点できるコスパのよい単元でもあります。反応式・全体式・計算の3点を、流れの理解とセットで押さえておけば、本番で大きな武器になりますよ。
そう、化学は「反応式を丸暗記する」のではなく、流れを理解して覚えるかで差がつきます。
暗記に頼らず「理解して定着させる」学習サイクルと、科目別の参考書ルートを、偏差値30台から宅浪で京大に受かったnote(第一章・第三章)で具体的に解説しています。
オストワルト法を得点源にするまとめ
最後にまとめます。オストワルト法は、アンモニアを段階的に酸化して硝酸を作る、硝酸の工業的製法です。3つの反応式は流れの理解のために、全体式(NH₃ + 2O₂ → HNO₃ + H₂O)は計算のために、と役割を分けて押さえるのがコツでした。
計算問題は、全体式の「NH₃ 1 mol → HNO₃ 1 mol」という1対1の関係を軸に、物質量(mol)でたどるのが基本です。収率がからんでも、理論値を出してから割合を掛けるだけ。単位を見失わず、mol を経由する流れを崩さなければ、確実に得点できます。
化学は、反応式を丸暗記する科目ではなく、何が起きているかを理解する科目です。私自身、偏差値30台から独学で、公式や反応式を「なぜそうなるか」から理解する姿勢を大事にして京大の化学に立ち向かいました。オストワルト法も、流れをイメージで理解すれば、暗記も計算も怖くありません。反応式や計算の演習をもっと積みたいときは、化学重要問題集の記事も参考にしてみてください。オストワルト法を得点源にして、化学を武器にしていきましょう。一緒にがんばりましょうね。
化学を「本番で得点源にできるレベル」まで積み上げたいあなたへ
偏差値30台から宅浪で京都大学に合格した全手順を、1冊のnoteにまとめました(全6章・6万字)。各科目の勉強を、志望校レベルまで正しい順番で積み上げる道筋がわかります。
- 第一章: 「分かる」を「できる」に変える学習サイクルと、忘れない復習・暗記の仕組み
- 第三章: 科目別の勉強法を、志望校レベル別に使う参考書とルートまで具体化
- 購入者特典: 独学最大の弱点「聞ける人がいない」を埋めるAI活用プロンプト集
現在2,980円。20部で3,980円に上がります。
参考:Purdue University「The Chemistry of Nitrogen and Phosphorous」。


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